階層間の差異  

第6研究・第7研究の看護師、第8研究以降の会社員(資絡専門職である看護師に対して一般的な働く人々と位置付けた)に対する調査の分析結果を比較すると、会社員と資格専門職である看護師では、このモデルに関する変数間の構造に大きな差異はない。階層間でも大きな差異は見られないが、パス係数の小さな変数間の関係に閲しては、研究間(対象病院組織、専門職対非専門職、男女間、企業間)で差異が存在する。図8-1や図8-4のようなモデルが成り立つことを明らかにした(いずれも破線は、関係が相対的に強くない、ことを示している)。その一方で、いくつかの謀題を残しているのも事実である。その第1は、対象者の問題である。本研究の対象者、特にこのモデルの検証のそれは、正社員のみのデータである。この適否に関する判断は、議論が残るところと言えよう。モデルに関しては、多くのパスを引いたほうが適合度が高まる場合も少なくない。パス係数が大きいという意味で基本的なものは図で示したとおりであるが、それ以外に、パス係数の小さいパスがいくつか存在することが少なくなく、図7-3で見るように複雑なパス図になってしまったことも課題と言えよう。

いくつか存在

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キャリアに関係  

師長のデータを投入して有意なパス係数のみで分析しなおすと図6-5のようになり、メンタリングは、もっぱらキャリアに関係し、ソーシャル・サポートとしての機能はあまり持たないことを示している"'。同時に、「キャリア満足感」や「職務満足感」という満足感は、「働きItl斐Jには影響しないことを示しているが、メンタリングーキャリア発達一生きがいというモデルは、当てはまりの指標も含め、十分に支持されることを示している。なお、看護部長のデータによる解析は、パス係数は、キャリア発達から自己効力感・働き甲斐を経て生きがい、また、キャリア発達からキャリア満足感・職務満足感・全体的生活jilt足感を経て生きがいという関係が強いことを示している。しかしながら、モデルの当てはまりは支持されなかった。その理由としては、ヒアリング調査の印象からいえば、この階層の看護師のキャリア志向やJ[:政位への認知が、他のl織位の看護師とは大きく異なることを意味していることに起因するとも考えられるが、これは今後の検討課題である。大規模な病院に属する看護師が調査対象の中心を占めており、その病院組織の傾向を大きく反映したものであった。

今後の検討課題


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業績評価と人格的な敬意  

研究の対象企業は、成果主義を導入し、管理職からスタッフへの降格も特殊な人事ではないという処遇が行われており、看護師同様に、業績評価と人格的な敬意は、まったく別物との認識に立っていることを示しているとしてよいであろう。これらを勘案して、本研究では、キャリア機能(15項目)、管理者的行動機能(8項目)、情緒的機能(12項目)、受容・承認機能(7項目)という4カテゴリーでメンタリングを把握し、分析を行うことにする。筆者の第l研究から第4研究までのメンタリングに関する研究も、上記の4機能に分けることができ、その意味で、この機能分類は一貫している。第6研究以降の各研究のメンタリングの尺度を、上記の4機能に分類し、共通の項目で集計しなおし、各研究ごとに、各機能の信頼性(クロンバッハの日係数) を見たものである。最も低いものでも.88以上あり、この尺度が充分な信頼性を持ったものと考えることができよう。また、前述の第l研究から第4研究までのメンタリング尺度の分析を通して、先行研究で上げられたメンタリングの機能と充分に一致することから因子的な構成の妥当性が得られたと結論づけたが、本研究でもその部分は支持されたとしてよい。

成果主義を導入

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キャリア発達に影響  

この研究では、特にキャリア発達に影響を与えた要因6項目を新たに付け加えた。同H守に、第lグループに属する8病院と第3グループの病院に関しては面接調査も実施した。そこからは、第1グループに関しては、地理的条件や病院規模により人材育成の課題の差異が大きいことが判り、それに注目した質問紙調査の分析も行ったが、若年入職者が大きい病院と、20歳台から50歳台までバランスよく看護師が分布している病院で、大きな差異は見られなかった。次掌以降で、第1グループと第3グループの比較や、規模間格差などについても若干触れることにするが、主たる分析は、監督l臓や管理職の数も多く、地位問の比較分析がしやすい第lグループのデータを用いる。2007年に実施した、il:j3年以上の勤務経験を持つ看護師を対象にした調査である。対象は、社会保険関係3病院と国立病院機構に属する6病院および、大きな病院組織(第5・6調査の対象ではない)に属する1病院に勤務する看護師1.453名で、有効回答は1.086 (有効回答率74.7%) である。平均年齢は、35.2歳(男33.9歳、女35.3歳)で、看護師としての勤続年数は12.6年、現在の病院で、の勤続年数は8.3年で、ある。第8研究とまったく同じ質問項目(ワーデイングは看護師向けに変えたところがある)を用いた調査で、会社員との比較を試みるために実施した。


キャリア発達に影響



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成果指標  


BSCの手法を個人目標達成にまで徹底させるのは、実際上困難である。個人目標に成果指標を部署目標や委員会目標と統合させて数値化するのは、スタッフ本人や目標面接でフォローを行う直属の上司、つまり看護師長がよほどのシステムの理解をしていなければならない。むしろ、個人目標と組織目標のすり合わせができず、看護師個人も「やらされ感」が強くなり、結局はあってはならないノルマ管理になってしまう可能性のほうが強い。実際、筆者は愛知県地域の看護管理者と「ヒューマンリソースマネジメント研究会」と称する実践的な勉強会を行っていた時期がある。そこで目標管理とBSCの両者を比較検討しBSCを院内で試行したところ、上層部の経営姿勢がスタッフレベルに可視化されそれまで部門横断的に話し合った経験はなかったが、初めて組織的に一丸となってコミュニケーションをとることができ、すばらしい手法であることが確認できた。他方、スタッフ個々人には、従来の目標管理の手法を用いて成果指標で縛りをつけないほうがモチベーションが保たれることも発見した。


成果指標





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