<第一話>
のっくん
<第二話>
HIRO
<第三話>
おうかさん
ヒカルは、アメリカに来てからもうすぐ一年になろうとしていた。
日本語の教師として働き始めたが、生徒数も増えて忙しい毎日をおくっている。
こうしてのんびり町を見下ろす余裕もなく、時間に追いまくられる現実をしみじみ感じていた。
ベンチの下から、突然けたたましく目覚まし時計のベルが鳴り響いてきた。
飛び上がらんばかりに驚いたヒカルは、あわててベルの音を止めた。
目覚まし時計には、セロファンテープでメッセージカードが貼り付けてある。
「依頼を受けました。
眼下に広がる町とは、反対の林側を見てください。
それがあなたの恋人の働くビルです。
今からこのビルとともに、彼はこの世から消えます。
あなたに許されているのはYesと言う言葉だけです。」
町から離れた林の中に、古ぼけたビルが一つ見えた。
たしかに、あれは彼が勤める会社のビルだ。
読み終えると同時に、轟音が鳴り響いた。
一瞬にしてビルが崩れ落ちる光景を、ヒカリはピクリとも動けず凝視した。
何が自分に起きてしまったのか。何のために?
たくさんの?が浮かんでは、答えを見つけられず消えた。
次の瞬間ヒカリは、彼を失ったショックで芝生の上にしゃがみこんだ。
後ろから近づいてくる足音を感じた。こんなばかげたことをした犯人かも。ヒカリは振り返った。
そこへ抱えきれないほどのかすみ草をかかえた彼が、心配そうな面持ちで駆け寄ってきた。
「よかった、あなた生きていたのね」
安堵には温度があることを、ヒカリは涙で感じた。
「今日は、ビル解体の日だったんだ。それを内緒にしていたんだよ。
なくしたものが見つかった時が最高に幸せって、ヒカリが言っていたからこんな手の込んだプロポーズを用意してみたよ。ちょっと度が過ぎちゃったね。結婚してくれますか」
ヒカリはYesと答えた。もちろん、「今日より最悪のことは起こらないわよね」と念を押すことも忘れなかった。
<終わり>
第三話は
おうかさんが作品にしてくれました。
本当にいい出来でおうかさんありがとうございましたペコリ(o_ _)o))

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