アングラな存在だから面白いのであって、一年半前の文化祭で鳥居みゆきを知らぬ仲間達を散々こき下ろした覚のメジャーになったみゆきへのこだわりは薄れてしまい、自作サイトのトップに肖像画を飾った過去も忘れて鳥居みゆきを見ずに中島みゆきばかり聞いている始末。
挫折感に浸っている覚は泡盛片手に中島みゆきの憂鬱な曲調に無我夢中なのだ。
絶望は変わらない。変わるのは希望だけだ。マルロー
文学少年だった覚は寺山修司に憧れて「書を捨て街へ出た」。バブル後の女子高生ブームのさ中、自傷癖の果てにオーバードースで夭折した援助交際高校生の憂愁な雰囲気がもてはやされていた当時出会いサイトの男を待っていた若い女を横取りして連れ帰ったのが思えば事の始まりだった気がする。
亀のようにのろのろとした成長で進み続けた覚は道中サイヤ人やギニュー特選隊などの凄腕に次々と出会い打ちのめされていったが、この年になって覚にようやくとどめを刺したのは老化だ。
国境なき記者団から日本へ派遣されたスパイというのが、インフレした実力の軟派師達に見捨てられ姿を見せぬ最近の覚に関する定説であるらしいが、なんのことは無い挫折に打ちひしがれて引きこもり自涜(マスターベション)とオンラインゲーム「もう迷わせないアトランティカ」に打ち込んでいるだけなのである。
軟派はもう休止されたのですか?(横浜市鶴見区69歳男性匿名)なんぱやめないで(大阪府吹田市11歳あきひろ君小学五年生)覚に送られたクリスマスカードに添えられた一文であるが覚は決して軟派をやめはしない。
孫のいる軟派師を軽んじる向きが中央軟派界にはあるが明日は我が身であって性欲は尽きないし路上軟派という方法を身につけてしまった雄が方法論としての軟派を捨て去る事はなかなかできるものではない。
出撃回数は少なくても覚が路上遊説を放棄する日は来ない。
どの方向を向いても覚の行き着く先は挫折であり絶望は変わらない。可能性の縮小されて行く希望だけがその姿を変えるのだ。

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