エゾシカ
六月は「バンビ」の季節である。車道の脇で親子を見つけた。車をUターンさせて車窓から撮っていた。やがて子ジカは母ジカの腹の下に入っていて、乳を飲んでいた。時々は車が通るが、そんな往来には慣れているようで、二頭は無頓着にしていた。
そこへもう一台が来て停まって、ドアを開けてヒトが出てきてしまった。母ジカは驚いて飛び跳ねて逃げてしまった。その時に危険を判断できない子ジカは取り残され、更に逃げる母ジカに蹴飛ばされてうずくまってしまった。思いがけないことだったが、ばつが悪いとは思ったらしく、その車はすぐに発進して行った。
一分。だめ。三分。まだだめ。
五分ほど経ってからやっと立ち上がった子ジカ。生まれ落ちたときと同じように脚を踏ん張って起き直ったのだろうか。軽く弾むように歩いて奥の茂みへ消え去った。

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