2011/5/13

道州制についてご質問を頂きました。  

道州制についてご質問を頂きましたので
私の考えを書かせて頂きます。

 先月行われた統一地方選挙の奈良県知事選挙において、関西広域連合がにわかに争点となりましたが、実態もよくわからないまま、今すぐに入るべき、今は入らなくてもいいという参加の是非だけが論点となったことについて、少し違和感をお持ちになられた方もおられると思います。
 広域連合に関するご質問には、これまでもこの欄で私の考えをお示ししてきましたが、単に広域連合に入る入らないではなく、国と地方の関係や、地方の中での府県(広域自治体)と市町村(基礎的自治体)の関係、府県と府県や市町村と市町村とういう自治体同士の関係(例えば広域連合か、広域連携かなど)を、トータルで検討する必要があります。

 県と市町村の関係については、市議会議員を務めさせていただいた経験を踏まえて、県と市町村が連携した効率的な行政運営など、県議会議員になってからも私なりに提言等も行ってきました。
 ★平成22年6月9日代表質問
 一方、国と地方の関係につきましては、究極の地方分権ということで、道州制の導入が検討されてきました。
 地方制度調査会「道州制のあり方に関する答申」(H18.2.28)
 http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1104/00006052/00264661.pdf
 自民党道州制推進本部 「道州制に関する第3次報告」(H20.7.29)
 http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2008/pdf/seisaku-021a.pdf
民主党政権になってから、議論は下火になっていますが、東日本大震災を契機に、道州制の議論が復活してきそうな様子があります。

 関西経済同友会の提言(H23.5.6)
 http://www.kansaidoyukai.or.jp/tabid/280/Default.aspx
 支援者の方から、道州制についての考えを教えて欲しいというリクエストもありましたので、上記に掲げた答申などを読んで感じた事を少し書かせて頂きます。

●細かな点は別として、いずれも国―道州―基礎自治体の三層制を基本としており、国の事務・権限を道州に、今の府県の事務・権限を基礎自治体に移すことにより、地方を元気にし、国全体の活性化を目指そうというものです。

●その際、基礎自治体の人口を、合併により約30万人、少なくとも10万人とすることが前提とされています。府県の事務を基礎自治体に移すにはそのくらいの人口規模がないとダメだということです。本当にそんなことが可能でしょうか。
 奈良県の面積の半分以上を占める吉野郡の人口は5万人にも足りません。五條市、御所市を加えてもやっと10万人です。広大な行政区域を抱えたことによる弊害は、各地の合併事例でも明らかです。そのような場合に基礎自治体の支えるのが今の府県の役割のひとつですが、道州になると遠くに離れてしまい、きめ細かな支援は期待できなくなるのではと思います。
 住民にとって一番身近な行政をどのように保証するのか、もう少し検討が必要です。

●府県については、広域的に取り組むべき課題が多く生じてきているとか、国からの権限・財源を移譲するには、もっと大きな自治体が必要ということが言われています。
 道州が担う事務としては、国道の管理、中小企業対策などが挙げられていますし、東日本大震災を教訓に、災害対応における指揮系統の一本化についても、道州制の導入理由の一つとされています。
 ただ、これからについて、今の府県が主体となって実施することによる弊害や、府県等の連携によっては対応できないのかどうかという検証はなされていません。
 そのあたりの具体的な検証を、議論の土台とすべきと考えています。

●国から道州に、権限・財源を移すということは、究極では、どのような事務を行うのか、その財源とするための税をどう集めるかまで、道州に任せるということです。つまり、住んでいる道州によって、行政サービスの度合いや税負担が異なることになりますが、国の統一性、ナショナルミニマムの保障という点でいかがかと思います。

●今や、グローバル化や少子・高齢化の影響で、産業経済、人口の地域間格差は極端な形で進んでいます。道州制の導入によって、その格差が縮まるとは思えませんし、かえって、道州内での都市部と山間部の格差も生じると思われます。
 このような格差を是正するのは、国の大きな役割です。国=中央政府の役割をどうするのかという点についても、まだまだ検討が必要です。

●国・地方を通じた効率化のためにということも、道州制導入の目的の一つに挙げられていますが、国と地方で重複している事務があるとしても、その解消のための手段は、道州制であるとは思いません。
 また、国の権限・財源を道州に移す際に、地方での効率化を名目に、移転財源が縮減されることは大いに考えられます。
 まずは、地方に比べて遅れている国の行革、効率化を行った上で、検討されるべきだと思います。

●少し話は逸れますが、関西広域連合の将来像として、道州制を思い描いておられる方(道州制を推進しようという団体が、今回の知事選挙で広域連合への参加を訴えた候補の支援をされていました)もいれば、道州制をには繋がらないと考えておられる方もいます。ともかくやり始めれば何かが見えてくるということで発足されたようですが、同床異夢の集まりがどうなるのか、良く見ておくことが必要だと思います。

●思いつくままに書き並べてみましたが、一番は住民にとってどうかということです。地域のことは地域で決めるのは大切なことですが、それが行き過ぎる事により、日本という国がバラバラになるのはいかがでしょうか。
 住民と一番身近な市町村が、住民と一緒にまちづくりを考え、地域づくりを進める。それを、県が適切な距離感で連携、協力する。さらに、国がナショナルミニマムや国土均衡の観点から支援する。これが、私の描く理想の国と地方の関係です。
 国―県―市町村がどのような連携、協力関係を築いていくかが課題であり、住民を置き去りにしたままで、形さえ変えれば現状を変えられるという考えには反対です。
 今後、各所で検討されている議論がさらに深められ、集約されることにより、国民的世論を動かすようになることを期待します。



タグ: 奈良 生駒 議会



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