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第2次再審請求・特別抗告棄却決定(2005.3/16最高裁判所)より抜粋
http://www.asahi-net.or.jp/%7Emg5s-hsgw/siryou/sayama_jiken/2tokuki.html
2 脅迫状の記載訂正前の金員持参指定の日付について
所論は,新証拠である大塩達一郎作成の昭和54年3月20日付け写真撮影報告書,弁護人中山武敏作成の昭和54年3月30日付け写真撮影報告書,串部宏之・北田忠義作成の昭和54年5月15日付け意見書,昭和38年5月4日付け朝日新聞朝刊記事(写し)によれば,「脅迫状中の金員を持参すべき指定日の日付訂正部分を,赤色部における分光特性を強調する検査方法により判読したところ,その塗消部分には塗消以前には,申立人が自白した指定日である『4月28日』ではなく,『4月29日』と記載されていたことが判明した。したがって,申立人の自白が真実に反しており,その余の自白も捜査官の誘導による虚偽架空のものであることが明らかである。」というものである。
しかしながら,・・・所論は,実質上同一の証拠に基づく再審事由の主張の繰り返しというほかはなく,刑訴法447条2項に照らし不適法であって,これと同旨の原判断は正当である。
4 雑誌「りぼん」について
所論は,新証拠であるD,E,F,G,Hの昭和38年7月1日付け司法警察員に対する各供述調書によれば,申立人が脅迫状作成に際して参照したとする雑誌「りぼん」は,本件当時,申立人方には存在していなかったというものである。
しかし,上記各証拠はいずれも第1次再審請求において同一の論点について再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,所論は刑訴法447条2項に照らし不適法であり,これと同旨の原判断は正当である。
6 殺害の態様について
所論は,新証拠である上田政雄作成の昭和50年12月13日付け鑑定書(補足説明書を含む。上田第2鑑定書),木村康作成の昭和51年12月27日付け意見書(木村意見書),青木利彦作成の昭和51年12月13日付け意見書(青木意見書),上山滋太郎作成の昭和58年3月15日付け鑑定書(上山第1鑑定書),上山滋太郎作成の平成5年5月10日付け鑑定書(上山第2鑑定書),弁護人中山武敏,同横田雄一作成の昭和58年8月3日付け調査報告書,弁護人中山武敏,同横田雄一作成の平成5年2月18日付け実験報告書,新聞記事(写し)12点,法医学文献等の抜粋(写し)20点によれば,被害者の殺害方法は,軟性索条物による絞頸と認められるから,扼殺したとする申立人の自白は,殺害態様について自らが経験していない虚構の事実を述べたものであって,自白の信用性は全体として否定されるというものである。
しかしながら,上記各証拠のうち,上田第2鑑定書,木村意見書及び青木意見書は,第1次再審請求で上記と同一論点について再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,これを再び再審事由として主張することは刑訴法447条2項により不適法である。また,その余の証拠について,殺害方法を扼殺とした五十嵐鑑定の証拠価値を左右するものではないとした原判断も正当として是認できる。
11 犯行に使われた手拭について
所論は,新証拠であるK作成の手拭配布先に関する便せんメモ4枚(東京高検昭和41年領第17号の56ないし59,Lメモ),M米店の得意先から回収され東京高検で保管中の手拭154本(東京高検同領号),N作成の昭和38年5月22日付け狭山警察署長あて上申書(N上申書),Oの昭和38年5月24日付け司法警察員に対する供述調書(O員面),弁護人横田雄一作成の昭和54年6月15日付け手拭154本及びLメモに関する調査報告書によれば,「本件の捜査において,OはM米店から昭和38年度手拭の配布を受けていないと述べ(O員面),Nは配布を受けた昭和38年度手拭は1本のみであると述べている(N上申書)から,確定判決が認定する配布経路により犯行に用いられた本件手拭を申立人が入手した可能性はあり得ないことになる。」というのである。
しかし,・・・上記所論は実質的に同一の証拠に基づくものといわざるを得ず,少なくとも,N上申書及びO員面を除く上記新証拠を再び再審事由として主張することは,刑訴法447条2項に照らし不適法である。
15 死体埋没に用いられたスコップについて
所論は,新証拠である生越忠作成の昭和50年8月25日付け鑑定書(生越鑑定書),生越忠作成の昭和52年4月18日付け鑑定補充書,Rの昭和38年6月20日付け検察官に対する供述調書によれば,本件スコップは,死体埋没に使用されたものでないことを示すものである,というのである。
しかし,上記各証拠は既に第1次再審請求で上記と同一論点につき再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,所論は刑訴法447条2項に照らして不適法であり,これと同旨の原判断は正当である。
16 死体埋没現場の玉石の存在について
所論は,新証拠である生越鑑定書によれば,「埋没された死体の右側頭部付近にあった玉石は,現場の土壌の性質からして他所から持ち込まれない限り現場には存在し得ないものである。犯人ならば,必ず玉石があったことを記憶していて,これについて説明するはずであるが,申立人が玉石について全く供述していないのは,申立人が犯人でないからである。」というものである。
しかし,生越鑑定書は第1次再審請求で同一の論点について再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,所論は刑訴法447条2項に照らして不適法であり,これと同旨の原判断は正当である。
19 本件万年筆発見の経緯について
所論は,新証拠である内田雄造作成の昭和54年5月10日付け報告書(内田報告書),内田雄造作成の昭和58年6月4日付け万年筆認知に関する鑑定書(内田鑑定書),弁護人中山武敏作成の昭和58年6月22日付け調査報告書,昭和38年6月27日付け朝日,産経各新聞記事,弁護人細川律夫ほか作成の昭和61年11月3日付け申立人方の捜索に従事した警察官に対する捜索状況調査報告書(録音テープ原本8巻とその反訳共。細川ほか報告書),弁護人中山武敏ほか作成の昭和61年11月3日付け申立人方写真撮影報告書,Y,Z,a,bの昭和61年11月3日付け弁護人に対する各供述調書,弁護人青木孝作成の昭和61年11月9日付け家族(c)に対する申立人方捜索状況調査報告書,dの平成3年7月13日付け,同年12月7日付け,平成4年5月16日付け弁護人に対する供述調書3通(d弁面),弁護人青木孝作成の平成4年7月4日付け元狭山警察署巡査dに対する捜索状況調査報告書,弁護人青木孝作成の平成4年7月4日付け写真撮影報告書によれば,「申立人方鴨居上で発見押収された本件万年筆がそれに先立つ2回の捜索時にも鴨居上に存在していたのであれば,捜査官の視野に入らないということはあり得ないことである。また,上記2回の捜索では本件鴨居のある勝手場について極めて徹底した捜索が行われ,鴨居上は間違いなく捜索されている。にもかかわらず,本件万年筆が2回の捜索で発見されなかったことは,2回の捜索時には本件万年筆は申立人方に置かれていなかったことを示すものである。」というものである。
上記各証拠のうち,内田報告書は,第1次再審請求で上記と同一の論点につき再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,これを再び再審事由として主張することは刑訴法447条2項に照らし不適法である。
20 本件万年筆と被害者の万年筆との同一性について
所論は,新証拠である科学警察研究所警察庁技官荏原秀介作成の昭和38年8月16日付け,同月30日付け各鑑定書,同技官柏谷一弥作成の昭和38年9月9日付け鑑定書,被害者の当用日記,受験生合格手帳,ぺん習字浄書,学級日誌,eの司法警察員に対する昭和38年10月3日付け供述調書,fの検察官に対する昭和38年5月29日付け供述調書及び司法警察員に対する昭和38年7月27日付け供述調書(f検面,f員面),弁護人横田雄一作成の昭和61年7月19日付け調査報告書(横田報告書),gの司法警察員に対する昭和38年5月7日付け供述調書(g員面)によれば,被害者が常用していたインクはライトブルーであり,事件当日その使用していた万年筆にブルーブラックのインクを入れ替えた形跡がないのに,発見された本件万年筆にブルーブラックのインクが残留していたのは,本件万年筆が被害者の万年筆でないことを示すものであるというのである。
上記新証拠のうち,f検面及び員面,g員面,横田報告書を除く証拠は,第1次再審請求において上記と同一の論点につき再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,これを再び再審事由として主張することは刑訴法447条2項に照らし不適法である。また,その余の新証拠であるf検面及び員面,g員面,横田報告書も,本件万年筆が被害者の万年筆であるとした確定判決の認定を左右するものとはいえない。
26 供述調書添付図面の筆圧痕について
所論は,新証拠である荻野晃也作成の昭和50年12月20日付け鑑定書(荻野鑑定書),弁護人大野町子ほか作成の昭和53年5月23日付け報告書(大野ほか報告書)によれば,「申立人の自白調書添付の図面の中には,捜査官があらかじめ用紙に印象しておいた筆圧痕を申立人に筆記具でなぞらせる方法で作成されたものがある。荻野鑑定書等は,控訴審で行われた宮内,上野各鑑定の対象外となった図面について鉛筆線より先に付けられた筆圧痕があるかどうかを解明し,捜査官の強制ないし誘導により自白がされたとの疑いを生じさせるものである。」というのである。
しかしながら,上記各証拠のうち荻野鑑定書は,筆圧痕と鉛筆線の先後関係を判定するについての一つの方法論を提示するにすぎない上,同鑑定書及び大野ほか報告書は,第1次再審請求で上記と同一の論点につき再審事由として主張されて既に判断を経たものであるから,所論は刑訴法447条2項に照らして不適法であり,これと同旨の原判断は正当である。
28 結論
以上のとおり,所論引用の新証拠のほか,再審請求以降において新たに得られた証拠を含む他の全証拠を総合的に評価しても,申立人が強盗強姦,強盗殺人,死体遺棄,恐喝未遂の各犯行に及んだことに合理的な疑いが生じていないことは明らかである。したがって,所論引用の新証拠について,刑訴法435条6号にいう証拠の明白性を欠くか,あるいは,第1次再審請求において同一の論点につき再審事由として主張されて既に判断を経たことにより刑訴法447条2項に照らし不適法であるとして,本件再審請求を棄却すべきものとした原判断は,正当として是認できる。
(裁判長裁判官
島田仁郎 裁判官
横尾和子 甲斐中辰夫 泉 室・ 〆邑・蘋イ)
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鎌田 慧 『狭山事件 石川一雄、四一年目の真実』 より
それでも、石川一雄の名誉を回復させるのは、裁判しかない。
彼は
「かならず、正しい裁判官はいる」
といまなお信じている。
「中田善枝さんには、申し訳ないことをした。自分があともうすこしがんばっていれば、犯人はつかまったはずだ」
最近になって、石川一雄は、未解決になったのは、自分の責任だ、社会に迷惑をかけた、とよくいうようになった。たしかにそうかもしれない。
しかし、彼を陥れたものは、警察であり、検察であり、誤りを正そうとしない裁判所であり、ひとりの人間の運命に無関心なわれわれだ、といってまちがいはない。