10月も末となって、亜熱帯の香港も涼しくなって来た。
夜など薄着で寝ていると、寒くて目が醒めることもあり、そのせいもあって、なかなか風邪が抜け切らない。
そうこう言いながらも、昨日も帰りがけには北角での稽古へ行って来た。
風邪が抜け切らないような時には、思い切って動いて汗をかいたほうが、すっきりすることは良くあること。鼻の調子は悪いけれど、熱は無いので動くことはできる。
ロッカールームで、旧知のメンバーTimに会うと、彼も「先週は風邪で一回も稽古に来られなかった。」と話しかけて来た。「実は、自分も。」と答えると、「こういう季節の変わり目は多いよね。のどや鼻の不調には、街で売っている漢方茶を飲むといいよ。」と言っていた。 そういえば、香港では漢方茶の店へ来て、お金を置いて(10元くらい)、一気に茶を飲んで立ち去る光景を良く目にする。近場で探して飲んでみようと思う。

稽古後、トラムの走るKing’s Road へ向かうと、新光戯院が開いている。
そういえば、以前読んだ告知には、10月24日から再オープンと書かれていた。 閉めたのは8月のことだったので、早2ヶ月が過ぎたことになる。 本当に月日の経つことの早さを感じる。 再開2日目となる昨夜は「戯院満座」の垂れ幕がかかり、満員御礼の状態だった様子。 ロビーも花で溢れ賑やかだった。 一時は閉館も決まった伝統芸能の常設戯院の継続は本当に良かったと思う。

ダウンタウンの北角からQuarry Bayへ向かう間、トラムの走るKing’s Road はしばらくの間寂しくなる。この間は、小さな公園、 水道局の建物、工業ビルなどが続き周囲も暗く、しばらく行くと斎場がある。 香港祭儀館と書かれた斎場は、70年代風の建物で、その前をトラムが進む風景は、ちょっとレトロなムードを漂わせる。
周りに店も無く暗い夜の斎場の周囲で煌々と電気が点いているのは花屋だけ、明日の葬儀に使うのであろう白い生花がどこの店でも作られている。ここでは、白が葬式の色。 花びらの白い色は、まさに故人の「思い出の色」となる。
人通りの無い大通り。 路地を入った小さなフラットには明かりが灯り、そこに住む人たちの生活を感じさせたりもして、僅かの間、人の一生を思ったりもする。そうこうしているとQuarry Bay の駅前となり、通りはまた賑やかになる。
短い時間ではあるけれど、香港の人たちの生活の光と影を感じさせるトラムの移動。スピードは遅いけれど、たったの2ドル。 ホームまでの階段を上り下りする必要も無く、無機質なMTRより遥かにいい乗り物だと思う。街としての風情がどんどん薄れて行く香港、100年走り続けているトラムが無くなれば、街の魅力はさらに薄れてしまうだろう。
香港政庁は、今になって旧い建物の保存にも力を入れ始めたようだけれど、少し遅すぎたのではと感じる。効率優先の開発と管理の悪さから、旧いものはずいぶんとないがしろにされて来た。 残そうという意識が無ければ、旧いものは無くなって行ってしまう。 無くなった旧いものは二度と取り戻せないのだけれど、新しいものが大好きな食いつぶし文化の街では、そういう意識は育たないのかも知れない。