「ラマダン2014(断食月)、明けましておめでとう!」
タンザニア便り2014
ジャンボ!
ザンジバルは、ラマダン(断食月)明けのお祭りもおわり、たくさんの出店の屋台も解体されて、やっと日常が戻ってきました。
我が家でも、毎年恒例で、ピラウをたくさん作って、おもてなし。
漁業、運送、柔道の面々もやってきて、バラカトゥライディと新年のご挨拶。ふだんから会っている人同士でも、服装をあらため、家を訪問しあって、ご挨拶をして、一緒にお祝いのピラウやお菓子を食べ、コーヒーを飲む、食べるものや飲み物が違っても、日本のお正月を思い出します。
家で大量のピラウを作るときは、これまた恒例で、お料理上手の女友達ファトゥマさんに助っ人を頼みます。なんといっても、お米7キロ、ジャガイモ、玉ねぎ4キロずつにお肉5キロ入れて、炭で炊きますので、一人ではちょっと厳しいです。
ラマダン明けのお祭り時には、予定している友人知人の他に、見ず知らずの子供たちもピンポ〜ンとベルを鳴らして、バラカトゥライディ!(ラマダン明けおめでとう!)とやってきます。
見ず知らずの子たちも、追い返してはいけなくて、用意していたお菓子やおこづかい(お年玉)を渡します。私は、長年、この知らない子にまでおこづかい(お年玉)をあげることに抵抗がありましたが、ある時から気持ちを変えて、とにかく小銭をたっぷり用意して待つことにしました。一日に何十人とやってくるので、いくら用意しておいても、なくなってしまうけれど、そうしたら、「今年のスククーはおしまい」ということに。そうしたら、子どもたちはあっさりさよなら。めげずにほかの家へ行っているようです。
この方法も、近所の人たちに教えてもらいました。
子どもたちには、一通りのあいさつの後に、名前と年と学年を聞くことにしています。
そうすると、15歳で4年生とか、12歳で3年生とかいう子たちもごろごろいて、まだまだ学齢期になってすぐに入学できない子たちもたくさんいることがわかります。
中には、「学校やめちゃったから学年はないよ」という返事が返ってくる、小学校中退組もちらほら。せめて小学校は終了できるまで学校に行けるようになるといいなと毎年思います。
ちなみに、ラマダン(断食月)は、貧しい者も、富める者も等しく空腹や乾きを覚え、同じ時刻に食し、祈りをささげる月。この期間は、貧しい人への喜捨も奨励されるので、タンザニア本土から一斉に物乞いがザンジバルに移動してくる時期でもありましたが、これに関してはずいぶん規制されたようで、昨今は、昔のような物乞いの人たちのラマダン中の大移動は見られなくなりました。
ラマダン中は、近所同士でのおかずの交換もさかんです。我が家も、隣3軒とほぼデイリーで、おかずをいただいたり、差し入れたりで、主婦としてありがたい日々。ラマダン中にはご飯を食べずに、ひたすら、いろいろな種類の芋や豆のココナッツミルクの煮込み料理が多いのですが、それがまたおいしいんです。
ちなみに、我が家のおかずで、ご近所さんに好評なのは、てんぷら、コロッケ、ヤギの中華風煮込みなどです。
ラマダンにしか作らない料理というのもあって、中でも私は、ビポポーという料理が好きです。キャッサバ芋を薄切りにして、乾燥させ、粉にする。キャッサバ芋の粉をぬるま湯で溶いて、白玉粉の要領で小さな団子状にしたのを、熱湯でゆでる、それをココナッツミルク&カルダモンで煮込むという、とても手のかかる料理です。
このビポポーは、トラックのドライバーのアリの奥さんの得意料理でした。「でした」と過去形なのは、アリの奥さんは、2年ほど前に、せきが出る、ぜんそくらしいと病院に運ばれ、たった2日で、文字通りの急逝を遂げてしまったからです。
アリの奥さんは、毎年必ずこのてまひまかかるビポポーを作ると、我が家に持ってきてくれましたので、アリの奥さんのつくっれくれるビポポー、おいしかったなあ、でももう食べられないんだなと思い出していたら、お母さんの味を受けついだ娘たちが、ビポポーを作ってもってきれくれました。一口食べてみたら、まさに同じ味でした。
アリの奥さんは、まだ40半ばで急逝してしまいましたが、なかなかザンジバルの女性でも作れないザンジバル伝統料理を、しっかり娘たちに受けついでいっていたのですね。
ビポポーを撮るのを忘れて食べてしまいましたが、ビポポーを持ってきてくれた娘たちと一人息子は写真を撮りました。ちなみに、アリの家は、6人娘のあとで、末っ子の一人息子が生まれて7人の子持ちです。上のお姉ちゃんたちは成人していますが、まだ末っ子も下の娘も、まだまだお母さんに甘えたい年齢・・・40代半ばで子供たちを残して急逝してしまったアリの奥さん、子どもたちの成長していく姿を見たかったことでしょう・・・。
親戚や親しい友人を招きあうのも、ラマダンの習わしの一つ。風通しのいい外にゴザを敷いて、大勢で食べるザンジバル料理はまた格別です。(サイディ&アミーナ宅で)
ラマダン中には、富める者も貧しき者も、日の出から日の入りまで、飲食をしないことによる空腹や乾きを共有したり、分け合って食べる食事の美味しさも共有します。ラマダン明けのお祭り時には、各家ごとにできるだけの食事やお菓子の用意をして、見知らぬ人まで含めて来るもの拒まずでWelcomeする、生きることは食べることを地でいくような、この季節は、食を通じたおおらかな共同体社会が形成される期間という気がします。
なにはともあれ、今年もラマダン明けのお祭りを、ザンジバルの仲間たちと、そろって元気にすごすことができたのはありがたいことだなと感じています。
そして、今度会うときは、この子たちが、どんなふうに成長しているかな?なんて思いながら、子どもたちのお祭り(スククー)2014記念写真を撮りました。
今日まで生かされていることに感謝しながら、自分に与えられた役割をはたしていきたいと心あらたに感じる、ラマダン明けのお祭り2014でした。
by島岡由美子
☆日本では、「キリンのベイカー」と、バラカジャパンで展開している、百貨店での夏のティンガティンガ原画展第一弾、名古屋JR高島屋も、にぎわいの中で終了できた様子、みなさん、暑い中、足をお運びくださり、ありがとうございました。
ベイカーも、大勢の方々の熱い視線の元でライブペイントを行うというアーティスト冥利に尽きる毎日をすごしながら、今まで以上に素敵なキリン作品を描き出したことででしょう。ティンガティンガ村のアーティスト達にも、ベイカーが元気にがんばっている様子を、随時伝えています。ベイカー、8月には阪急@大阪、9月にはタカシマヤ@横浜と続きます。

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