前夜,上信越道の甘楽PAで夕食の餃子定食(自作)を食べ終わるまで,碓氷軽井沢ICで降りてバラキ湖畔(嬬恋村)でP泊し,翌朝四阿山に登ろうと考えていた。しかし,外は雨。それも結構降っている。このままでは湖畔から続く登山道はぐちょぐちょで不愉快な上,雨水の重みで垂れ下がった草が足をびしょびしょにぬらすだろうなぁ,と考えているうちに嫌になってしまった。
そこで急に行き場所を変更...そもそも今晩は千葉県方面に行くはずだったが,予報で北の方が天気が早く回復しそうというので関越道に飛び乗ったのだ。結局,以前歩けなかった美ヶ原の王ヶ頭辺りをハイキングしてみようと決めた。
佐久ICで降りて真っ暗な雨の下道を走る。最近の徘徊でよく思うのは,目的地までの行き方をまったく憶えておらず,目的地で目覚めても旅行している気分にならないといった贅沢な悩み。その理由は夜に移動してしまうので,目的地までの行程で感じる旅の実感が無く目覚めるためだと自己分析した。せっかくよい景色の中で目覚めてもなんだか旅の半分がすっぽり抜けた感じがする。
そんなことを考えながら進む内に,だんだん雨が強くなってくるのを感じ始めた。すでに登り始めているビーナスラインには折れた小枝が無数に散乱し,道を横切るドロや小砂利の混ざった川のような泥水が流れる光景がヘッドライトに映し出されている。そして上のほうは葉っぱが裏返りながら激しく揺れる木々と,光に輝きながらフロントグラスを激しくたたく雨粒が見えた。
だいじょうぶなのか?
こんな風雨のなか餌でもさがしにきたのか,鹿が一頭沿道からこちらを見ていた。野生動物にはもう慣れっこなのかもしれない。しかし,僕にとって初めて標高2,000mで出合う嵐だ。完全にビビッていた。とにかく,早く駐車場にたどり着いてほっとしたい。
美術館が併設されている美ヶ原の道の駅は,以前来たとき吹きっさらしな印象があった。こんな日は少し山の陰のほうが安心かもしれない..と思い山本小屋方面の『ふる里館』前の駐車場によることにした。そこにはトイレもあるらしい。
駐車場に何台かの停車車両があった。その隅に車を止めて寝る支度をした。しかし風雨が酷い。雨のたたきつける音と風きり音。それらに伴って強烈な揺れがくる。テレビを見ながらでもかなり気になっていたが,いざバンクベッドに寝てみるとその揺れはすさまじく,きっと倒れてしまうに違いないと真剣に思うほどだった。また冷蔵庫の排気口が車の横に空いていて,そこからの浸水も気になった。
焼酎を飲んでしまったので気が引けたが,駐車場で車の向きを変えてみたり場所を移動してみたり,少しの時間,恐怖におののきながら眠れない時間を過ごした。最後にはよい車の向きになったようで,揺れも少なくなり,風雨も少し弱まったのかもしれない,バンクベッドでぐっすり眠ってしまい,気がついたら朝の5時だった。

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