位置について・・・
よーい・・・
ドン!!
嫌いだったなぁ、この掛け声。
子供の頃は、人と争う事、競う事が、億劫で仕方なかったです。
『別に、いいよ。こんな事で、1番になりたいわけじゃないもん。』
そう思っていました。
心の準備が出来ないうちに、定位置につかされて。
甲乙つけ難い友達と、一列に並ばされて。
勝手なタイミングで、スタートさせられる。
大嫌いだった。
でも・・・・
大人になってみて、よくわかりました。
戦う事は、決してマイナスばかりじゃないという事を。
誰かを蹴落とす為ではなくて、凌ぎ合う心を育ててくれていたんだって。
最所は、運動オンチでした。
最近、知人にそんな話をしたところ、皆一様に『信じられない』と。
今井組の肉練やってて、それはないだろうと。
だからね、言ってるじゃん!
運動が出来るから、肉練やれるんじゃないんだってば!!
今思えば・・・
子供時代の最所は、自分を守っていただけでした。
かけっこビリだったら。
逆上がり出来なかったら。
ドッジボール弱かったら。
格好悪い、ただそれだけ。
実際、運動神経抜群のクラスメートがヒーロー&ヒロインでした。
運動会や球技大会は、毎回地獄でしたが・・・
ある時、担任の先生が個人面談の際にこうおっしゃって下さいました。
確かに、最所は運動が出来ないし成績が抜群とは言えない。
でも、芸術分野には長けている。
作文を書かせたら、毎年何かしらの大会で入賞するし。
絵のコンテストも、よく受賞する。
音楽では、楽譜が読めるしほとんどの楽器はすぐ弾ける。
学芸会や発表会では、お前は頑張るじゃないか。
『芸術ほど、1番を決める事は難しいよ。』
そう言って励ましてくれた、担任の先生。
まさか、最所が役者になる事を見越してアドバイスを下さったとは思えませんが。
自分のどこかに、誇って良い部分があるのだと・・・
誰でも、どこかにヒーロー&ヒロインになれる場所があるんだって。
いざその場に行ってみたら、当たり前だけど想像以上に厳しかった。
クラス単位のレベルじゃなくて、世界を狙えるアスリートがゴロゴロいて・・・
誰も、掛け声なんか掛けちゃくれない。
ボーッとしてたら、どんどん前を走って行かれるし。
いつの間にか、抜かされている。
自分の尻を叩くのは、自分しかいない現実。
手を引かれてスタートラインに導いてもらっていた子供時代が、いかに恵まれていたかという事・・・
そして、当時一緒に走った仲間は、あくまで『友達』であるという安心感・・・
しかし・・・
大変な事もある現在ですが、絶対に言い訳はしたくないし足を止めようとも思いません。
何故なら、このコースを選んだのは自分だから。
ゴールのないトライアスロンは、油断するともうサヨナラです。
ある意味、いつでもギブアップ出来るコースかもしれません。
それでも、まだまだ走る気でいられるのは・・・
前に立つ誰かの背中が頼もしくて、憧れるから。
後方からグイグイ追いかけてくる誰かに、自然とペースを上げられているから。
隣りに並でいる誰かが、辛いのは自分だけじゃないとおしえてくれるから。
負けねぇぞって・・・
自分にね。
もう、子供の頃とは違う。
守りには入らない。
格好つけたって、格好良くなんてなれないよ。
この先、どこがゴールなんて知らないけどさ。
走っている間に見えた景色、流した汗、出会った奴ら。
それが全てなんじゃねぇのって。
位置について・・・
よーい・・・
ドン!!
今となっては、毎日毎日。
最所美咲が、最所美咲の為だけに掛けている言葉です。
今日も、ひた走るべし。


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