この話は「八木橋裕子の物語」での課題を物語にしたものです
テーマは「冬が舞台のサイボーグ娘、作中にメカバレ(直接・間接を問わず)を含むこと」
冬休み特別企画! 参加作
題 「救難ヘリの日常」
作 しゅわるべ
アラームが鳴り響く
待機していた救難チームがヘリに乗り込んでいく
「こちら管制です、遭難地点は・・・・・・」
ヘリパイが管制塔とやりとりしながら
エンジンに火を入れて
荒天のなか飛び立っていく
目指すは山岳遭難地点に
標高3000メートル級の峰がつななる山に
「こちら救難101より管制」
「こちら管制。。先行機の情報では現場上空は
視界がほとんどないそうです
二次遭難の危険性大だそうです」
機長がさらに情報を聞く
「遭難者は2名でともに女性、、20代
雪崩に巻き込まれた、、、
たまたま通りかかった別のパーティーが
目撃し連絡をいれていた」
ヘリの乗員はそのやり取りを
無線機から流れてくるのを
黙ってきいていた
機長とコ・パイの他に救難員が2人聞いていた
救難員の黒部が「雪崩か。。早く行かないとやばいな」
コンビを組む立山も「だな。。だが新雪が多いから
表層雪崩がまだ起こる可能性もあるなぁ」
先行機の方から到着時間を教えてくれ
そんなことを言っているようだが
天候が思わしくないために
なかなか早く飛べない
「雪崩に遭ってから、、そろそろ危険な時間帯になっている
到着次第にラペリングを出来るように準備しておけ」
機長が指示を出す
機内は時間との競争に
いつものことだが緊張が走る
エンジンの騒音。。救難員が準備する音
声は一切ない
時折、管制塔との会話が機長との間にあるだけ
気象条件はさらに悪くなってくる
ヘリの機体を激しく揺さぶる
高度を気にしながら飛ぶ機長が
後の2人に指示を出す
「そろそろ現場上空だ。。先行機が現場を確認して
赤いスモークを投下しているから
後ろからか探してくれ」
二人は機体の左右に分かれて
赤いスモークを探す
しかし視界が悪く
なかなか発見できない
現場上空と思われる場所で
旋回しながらスモークを探す
「おい・・爆音が聞こえない?」
雪崩を目撃したパーティーの1人が仲間に確認する
「・・・俺にはきこえないぞ」
「聞き間違えじゃないか」
そう口々にする
彼らは手にスッコプを持って
雪崩に巻き込まれて
雪に埋もれている2人を探している
強い風と横殴りの雪
悪くなる一方の視界
下がる一方の気温
「サック。。サック・・・」
口数がだんだんと減ってくる
こっちを掘り、あっちを掘る
彼らの体力もそろそろ限界になってきた
低く立ち込めている雲間からヘリが見え
彼らに方に飛んでくるのが分かった
1人がヘリに向かって手を振る
別の1人が発炎筒を着火してそれを振る
ヘリパイが発炎筒の火を確認した
「・・・救難発炎筒確認したぞ、、準備はいいか?」
機長の声に黒部は「いいですよ。。降下準備完了」そう返事をする
雪崩に遭ってからすでに2時間以上たっている
現場は斜面がきついところで
二次遭難が懸念される場所
だが雪崩に巻き込まれたパーティーを見かけた5人の
別パーティーが懸命に雪を掘っていた
黒部が上空からラペリングで降下する
手には金属探知機を持って
個人装備が外れていなければ
これで発見できる
「救難隊の黒部と言います」
パーティーのリーダーらしき男に名乗る
リーダーは「待っていましたよ。。オレたちだけでは」と
スコップを見せる
ヘリからすぐに4台の金属探知機を降ろす
黒部は操作方法を教え
リーダーがここらあたりに流された
と言った地点を重点的に探す
強い風の音と
雪を踏みしめる音
男たちが歓喜する「発見音」はまだしない
もう発見は無理かと思われたとき
待望の電子音が鳴る
大急ぎで雪を掻き分ける
そこには女性が二人抱き合って
雪から出てくる
「遭難者発見、生死は不明」
ヘリに無線で連絡する
個人装備が二人とも身に付けているから
二人を引っ張りあげるのが苦労する
「ふー装備があるから重いなぁ」
二人を雪上タンカにそれぞれ乗せる
乗せたときに呼吸を調べるが
すでに呼吸は止まっている
黒部が手袋を外して
首筋で脈を取る
二人とも心肺停止状態
直ちにヘリからホイストを降ろしてもらい
フックに1人づつ掛けて
ヘリに収容する
立山は素早く機内に固定し
黒部が戻ってくるのを待ち
直ちに現場から
近くのヘリポートが完備されている
病院に直行する
機長が「15分も飛べば到着できます」
すでに病院に連絡がいっており
搬送先も確保されていた
黒部と立山は
この女性の顔を見て
「美人だな」と
そんな言をいいながら
心電図や酸素マスクなどを用意し
てきぱきと装着する
心電図の波形はフラットのままで変化がない
AEDを準備しながら
立山が二人の登山服の上着をはだける
電極をとれぞれつけ
電源を入れる
普通ならショックで体が跳ね上がるのだが・・・
場慣れしているはずの
この二人もこのことには気づかなかった
ただ息を吹き返せ
そう願いながら機器を操作していた
荒天の中
ヘリは無事に麓の病院の駐車場に
降下して二人を送り届ける
「心肺停止状態でAEDをしましたが
効果がでませんでした」
駆けつけた医師にそのことを告げ
彼女たちの装備を持って
病院に行き
荷物を託す
破れている二人のリックから
彼女たちが持つには不釣合いの
高性能バッテリーが覗いていた
それぞれに綺麗な文字で
「充電済み」と書かれているテープを巻いて
救難ヘリは基地に戻る
機内で「彼女たち助かるかな・・・・」
そんな会話がされていた
機長が「オレたちが来たんだ!きっと助かる」
おわり

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